タイ国会計ERPパッケージシステム「swifT」
日タイ両国の商習慣を踏まえてカスタマイズ
基幹業務をガラス張りにし、問題解決も容易に
タイ人スタッフにも使いやすいフレキシブルなシステム
マルコメタイは2013年10月に設立しました。東計タイランドさんが弊社に営業に来られたのはその翌月。私のミッションの一つはシステムを導入することでしたが、まさにシステムを検討していた絶妙のタイミングでの訪問だったわけです(笑)。
私は、タイに来る前には通販システムやWebサイトを立ち上げ、会社全体のシステム統合のプロジェクトにも携わってきました。システムの立ち上げについてはそれなりの知識は経験を持っていますが、営業の方に話を聞くと、非常に使い勝手が良いシステムであることがわかった。そこで、二回目はこちらから連絡をして、さらに具体的な話を聞かせてもらい、導入に至りました。システムの導入開始が2014年4月ですから、トントン拍子でしたね。
実は、自分なりにリサーチした結果、タイでは英語版のシステムを入れる以外の選択肢はないだろうと考えていたんですよ。しかし、東計タイランドさんのシステムはタイ固有の会計を踏まえて開発してあり、タイ語に対応しています。システムを使うのはやはりタイ人スタッフですから、タイ人が使いやすいことは大きなポイント。機能が充実していて、フレキシブルな使い方ができることもアドバンテージでした。
データセンターを備え、日本独自の商慣習にも対応
データセンターを備えている点もシステム導入の決め手となりました。
20年前に阪神淡路大震災が発生した以前から、弊社ではデータセンターを使っています。社内にはサーバを置いていなかったので、幸い、震災の後もダメージを最小限に抑えることができました。そのため、タイにおいてもデータセンターの使用は必須だと当初から考えていました。
導入にあたっては、日本にある東計タイランドさんのデータセンターにも足を運び、視察しました。「ここなら間違いない」と確認できたのも導入を後押ししましたね。
食品業界特有の商習慣を踏まえたカスタマイズにも助けられています。この業界には、梱(こおり)という単位があります。1ケース12個入りをいくつかまとめた単位で、例えば、弊社の製品で言えば「カップみそ汁」は5ケースで1梱。「とん汁」なら4ケースで1梱。こうした単位への対応は、他の国のシステムではありえない。特殊な単位を問題なくシステム上で使えています。
タイならではの慣習に合わせたカスタマイズも実現してもらいました。
ご存知のように食品には賞味期限があり、期限を過ぎると廃棄の必要がありますが、ここタイでは廃棄して在庫をゼロにする際にもVAT(付加価値税=7%)がかけられます。それだけではなく、例えば展示会で来場者に商品を配布したり、キャンペーンで試飲用にお客様に商品をサンプリングする場合にも、相当するVATを支払わなければなりません。
そうしなければ横流しをしたと見なされるんですね。そこで、システム上で在庫の賞味期限をすべて逐一確認できるようにしました。VATは、タイで進出した日本の食品メーカーにとって非常に頭が痛い問題ですが、法律ですから、この現実の中でやっていくしかありません。
基幹業務のすべてをガラス張りに
いろいろなシステムの立ち上げを経験してきた私から見ると、今回は導入から稼働まで非常にスムーズに運んだと思います。それも、事前にディスカッションを念入りに行なった成果でしょう。
マルコメ本社の情報システム担当者とも打ち合わせを重ね、こちらに来られないときにはTV会議を実施しました。カットオーバーから逆算して課題管理表を作り、進行管理をしていたおかげで、スケジュールも予定通り。システムを通して実現したいゴールを明確に定め、マルコメ日本側の情報システムの支援も受けながら、工程を着実にこなしていったのが良かったのだと思います。
今回のシステムの目的の一つが、基幹業務のすべてをガラス張りにすることでした。日本からアクセスすれば、売り上げも在庫もすべて一目瞭然です。経費をどれだけ使っているかもすぐにわかる(笑)。
普通、現地法人はそういうことを嫌がるものですが、私はいつもオープンにして、見たければいつでも日本からどうぞ、という形にしたかった。そのためにもデータセンターを使う必要があったし、東計電算さんにSEの担当者をつけてもらい、議論を重ねてきたわけです。
ガラス張りにする利点は、何かあったときに問題を発見しやすいことですね。臭いものにフタをしても仕方ありません。弊社の日本側の経理スタッフが見てもすべてわかるように、勘定科目の番号も日本に合わせました。タイ語がわからなくても照合可能なのは、このシステムの非常に優れた点の一つです。
経営戦略にも活用できる
現状、使い勝手については非常に満足しています。どの作業をしていても、自分がほしい画面や作業にすぐ飛べる。いちいち画面を閉じていたら手間もかかるし、何をしているのかわからなくなります。そもそも面倒くさいですよね。画面を2つ用意したり、ほかの画面をすべて閉じることなく作業が続けられるのは快適です。
ただ、スタッフはまだシステムを使いこなすレベルには至っていません。しかし、使っていくうちにおのずとそうなっていくでしょう。そうでなければ導入した意味がない。システムに使われているままでは、いずれそのシステムは使われなくなっていくからです。
この基幹業務システムにはさまざまな分析ツールが備わっています。利益率、商品ごとの損益分岐点、輸入した場合のコストなどのツールを使って、システムを自分の手足のように使いこなせば、財務諸表も出し、経営までできる。勘定科目も最初から日本と同じように細かくセッティングしているので、経営戦略につなげることも可能です。
今のところ、富士山の登山にたとえるとまだ6合目。車で行ける5合目まで、東計タイランドさんに連れて来てもらい、ちょっとその上に登った程度ですね。でも、頂上は見えている。1年後ぐらいには到達できるようになると見ています。
私はまもなく日本に帰任しますが、スタッフにはどんどんシステムをバージョンアップしてもらいたい。「こんなことはできないのか」といった疑問や「こういう機能があればもっと楽になる」といった要望が出てくるようになって初めて、「システムを使いこなす」段階に入ったと言えると思うんですよ。現状に満足せず、あれもやりたい、これもやりたいと、東計タイランドさんを困らせるぐらい(笑)たくさんリクエストして、システムを自在に使いこなしていってほしいですね。
商 号 | マルコメ株式会社 |
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事業内容 | 家庭用・業務用みそ・即席みそ汁の製造販売 家庭用・業務用糀食品の製造販売 家庭用・業務用大豆関連食品の製造販売 家庭用・業務用発酵製品、及びそれに関わる機器等の販売 スープ等原料の製造販売(ラーメンチェーン等) 加工用みその製造販売(対食品メーカー向け) 海外向け商品の開発 |
創業 | 安政元年(1854年) |
資本金 | 1億円 |
従業員 | 436名(男349名・女87名) |
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株式会社東計電算 製造システム営業部 |
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